生体型建築
Biolocical Architecture
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持続可能な社会を実現し地球を救う、プラスチック素材による
21世紀的〈生体型建築〉の提案。
1.20世紀的建築の問題点
資源や人工エネルギーを大量に消費するような建築がつくられるようになったのは、実は20世紀に入ってからのことです。地球環境問題を改善し解決に導くためには、これまでと同じような建築を漫然とつくり続けるのではなく、21世紀にふさわしい建築へと転換しなければなりません。(DETAILS-2へ続く)
Biological Architecture made of Plastic Materials
The architecture in the future will have the multi-functional envelope like the skin of a living thing, for example, Photovoltaic, Breathing, Self-modulation of Temperature, Support and Protect. It will sure to be made of the new plastic materials. We call it the Biological Architecture.
画像は、鈴木洋敬『プラスチック建築の可能性に関する基礎的研究』(2004 年度修士論文、工学院大学藤木研究室)及びRyumei Fujiki『Aqua-scape: The Nature-oriented Architecture of Ryumei Fujiki』(Beam Gallery, UK, 2009) より構成。
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2.生命をモデルとする
21世紀的建築=自律した〈生体型建築〉
〈機械〉は、建築のみならず、20世紀における科学、芸術など、あらゆる分野のモデルでした。〈機械〉をモデルとしてつくられてきた20世紀の建築は、文字通り、空調機械への依存を高め、結果として、地球温暖化に代表される環境問題を深刻化することにつながったといっても過言ではないでしょう。
わたしたちは、21世紀の建築のモデルは、〈機械〉とはまったく異なる〈生命体〉をモデルとすべきではないかと考えています。〈生命体〉は機械のように部品の組み合わせでできているのではなく、すべてが切れ目なくつながっています。
これからの建築は、植物のように太陽エネルギーを有効に利用し、動物の皮膚のように呼吸や汗をかくことで体温調節できる外皮を備えることになるでしょう。つまり、建築それ自体が、ひとつの自律した生命体でなければならないのです。
(DETAILS-3へ続く)
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3.〈生体型建築〉を具現化する
自然由来プラスチックの可能性
わたしたちは、ここ10年程、工学院大学藤木研究室と連携し、プラスチックのみを用いて建築をつくるための研究と試作を重ねてきました。これまでの建築は、「固く、重く、動かない」ものでしたが、これらを全て反転すれば、「柔らかく、軽く、動く」ものとなります。まさに、プラスチックの持つ性質です。〈生命体〉をモデルとする建築の特長である、環境応答性の高い多機能な外皮を構成できるのも、プラスチックしかないでしょう。
また、「自由な形状」をつくり出すことが得意なプラスチックによって、世界各地の文化や気候・風土に応じた、さまざまなスタイルが生みだされるでしょう。インターナショナル・スタイルを標榜しながら、結局はヨーロッパに起源をもつ画一的で退屈な建築で埋め尽くされてしまった20世紀の反省にたち、それぞれの地域に固有のつくり方を目指さなければなりません。プラスチックのもつ造形自由度がそれを可能とするのです。
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